私がカーライルに来たばかりの頃に5年半働いたデパートに小さなカフェがあった。
そこは忙しいカフェでシェフが良かったのもあり、ランチはかなり繁盛していたし、カーライルのレストランではまず絶対に見ないメニュー、例えばブイヤベースだとか、クラムチャウダーだとか、この閉鎖的地域にしては、かなり攻めたメニューを出していた。

だから都会出身の義両親は気に入って、頻繁に来ていた。
どこに行っても同じメニューしかない中、このシェフはいわゆるソーセージ&マッシュポテト、ハンバーガー&フライドポテト、パイ、ボロネーゼスパゲティ…などの類はメニューから外した。

で、そのカフェで働いていた同僚が毎日出る大量のプラスチックゴミを出す際、熱湯で濯いで小さくしてからゴミに出すというのを、別に指示されたわけでもなくやっていた。
そうすると、いくつも入るからという本人のアイデアだったのであるが、ある朝の全体ミーティングでこれが称賛された。
プラスチックゴミを潰して出すだけでなく、湯で縮めてから出す、何と素晴らしい人なのかと。

同僚は顔にピアスが20個くらい入っていて、髪は緑色だったから、この見た目の印象とのギャップがスタッフらの印象をガラリ変えた。
私はこの時、人は見た目では絶対にわからないなと思った。

あれから20年が経過、彼女は別の老舗カフェで働いている。
隣人の表玄関の美しすぎるガーデニング、薔薇、ヒマワリ…なのに裏庭には朽ち果てたウサギ小屋と二年前の嵐で折れた洗濯物干し竿、去年の夏に貯めたプールの緑色の水が放置したまま。
あれは気にならないのに、表玄関は見事な花の手入れがされてある。
あれはどういう心理なのか…と、人の心理というのか価値観というのか、本当に他人の事は絶対に理解できないなと思う。

多分、隣人の奥さんは私の事を洗濯狂いの女だと思っているだろう。
毎日あれだけ洗濯物を朝6時から干す。
一方で隣人は小学生の男子が3人いるが洗濯物を干しているのは年に数回。
あの沼色のプールの水を抜かずに放置しているが、もしかしたら私にだけ見えてんのとちゃうか…と最近思う。
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