負傷した毒舌夫人

付き添いで大病院の

救急治療室に行った時の話。

 

カーテンで仕切られた治療室で

怪我に気落ちする

毒舌夫人を励ましていたら

そこにお医者様が登場。

 

堂々たる恰幅の

威厳ある女医さんで

力強い声音と身振りで

「こんにちは、確認します、

あなたが患者さんね。

フルネームをお願いします」

 

毒舌夫人が名前を言うと

女医さんはそれを復唱してから

「私があなたを担当します

医師のドクター・

カールスミス(仮名)です」

 

そしてカールスミス医師は

断固たる態度で私を指さし

「それで、これは誰

(Who is this)?」

 

ハリウッド映画の字幕なら

「こいつは何」って訳を

あてたくなる口調でございました。

 

あまりに迷いのない疑問形に

私はつい考えこんで

「さて私は誰でしょう」

 

 

「患者さんの家族?」

 

「いいえ、違います。あ、

席を外したほうがいいですか?」

 

そこでストレッチャーの上から

毒舌夫人が弱々しく

「冗談言ってる場合じゃ

ないのよ・・・ドクター、

この人は私の友達です・・・」

 

というわけでこのたび私は

毒舌夫人の『友人(公称)』と

なりました、よろしくお願いします。

 

 

(これまでの公称についてはこちら)

 

救急治療室にいる患者さんは

皆さん基本的に

気が弱っているというか

意識が朦朧としていることも

多いでしょうし、ああやって

お医者様が「こいつ誰」と

確認をとることは

大事だと思いました

 

なお私はあそこで

冗談を言ったわけでは

なかったんです

 

というか質問の相手も

あれは私じゃなく

毒舌夫人でしたし

患者の意識の混濁度を

ああいう質問で確かめたいなら

私は答えを

言っちゃいけないのかな、と

 

自分は何者であるのか

哲学的に考えながらの

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