今年も
3月11日が 来た
その日
わたしが観た テレビの
東日本大震災の番組の中では
帰宅困難地域に住んでいた人たちの
その後
が 語られていた
あれから 9年経ち
ハード面での復興は
目に見える形で 着々と進んでいる
けれど
心が それに追いついていない人が
まだまだ 大勢いる
そりゃ そうだよね
大切な 家族や知人を失い
家を失い
仕事を失い
その上 ふるさとを失ったら
ひとは
何を支えに
生きていけばいいんだろう
その番組の中で
カメラは
立入禁止区域の ゲートの中に
入っていった
そこには
家も 車も 学校も 公園もあるのに
人の気配が 全くなかった
まるで 閉園した
アミューズメントパークみたいだった
そんな町並みの 先に
その公園は あった
番組では
かつて ここは
桜の季節には
見事な花のトンネルが でき
大勢の花見客で 賑わっていた
そんな内容の ナレーションが流れ
楽しそうに笑っている
子どもたちや
家族や 恋人たちの写真が
映った
そして
延々と続く 桜のトンネルも
あっ
私は 思わず 叫んでしまった
この景色
見たことがある
そこは
福島出身のひとから 見せてもらった
あの写真の 場所だった
https://ameblo.pro/abekawa-maki/entry-12337183146.html
以前
我が家のご近所に
母の公園友だちだった おじさんが
住んでいた
ハネちゃん というニックネームの
福島弁がチャーミングな
慎み深いひとだった
そのハネちゃんが 珍しく 自慢げに
すばらしいところなんだ
と言って 見せてくれた
ふるさとの
満開の桜の写真
テレビに映ってたのは
その景色 そのものだった
「桜の樹の下には
屍体が埋まってゐる」
と 梶井基次郎は書いた
ソメイヨシノには
そんなことを 連想させる
妖しい美しさが ある
ハネちゃんから その写真を
見せてもらった時も
この 延々と続く
美しい桜のトンネルが
どこかで
異界へ つながっているに違いない
そんな風に 感じて
とても 印象に残ってたのだった
夜の森公園
テレビで聞いて 初めて知った
まるで 物語に出てきそうな名前の
その公園は
ハネちゃんを含め
その場所に 暮らしてきたひとびとが
ずっと心を 寄り添わせてきた場所
だったんだろうな
と
今回 改めて 思った
あれから 9年
今年
一部 避難指示が 解除された
鉄道も再開された
でも
あの事故以前の生活に戻る 道程は
まだまだ 遠い
あまりに たくさんのものを
失ったし
変わってしまったものも 多い
ハネちゃんも
逝ってしまった
だけど
夜の森公園の桜は
今も 毎年 同じように
花を咲かせている
誰も愛でるひとがいなかった 年も
今年も
それは
傷ついた人の 救いに
なるだろうか
