猛烈な台風が 日本列島を襲い

 

一夜 明けたら

河川の いたる所が氾濫し

大変なことになっていた

 

 

被害にあわれた方

心から お見舞い申し上げます

 

 

 

 

今回

気象庁や マスコミが

 

最大級の大型台風が来るので

その為の備えをするよう

繰り返し 言っていて

 

 

でも 私って

ラストミニッツにならないと

なかなか 腰が上がらないのよね

 

ギリギリになって

防災用品を買いに行ったら

 

スーパーの棚には

水も ビニールシートも 電池も 養生テープも

なくなっていて

 

かろうじて

カップラーメンが 少し残っていただけで

 

 

その現実を見て

 

これは 出遅れちゃったかも

 

と 急に 心配になってきた 私

 

 

今の段階で

命を守るためにできることは なにか

 

おバカな頭を 巡らせながら

家の中で バタバタ 動き回っていたら

 

 

同居している 認知症の母は

椅子に じっと座って

 

どうも 動き回る私の存在が

気になるらしい

 

マンガに描いたような KY発言を連発し

 

ただでさえ混乱しかけている 私の頭を

ますます ぐちゃぐちゃにさせるのだった

 

 

 

 

 

その夜

 

予報通り 風雨がだんだん強まり

台風が 日本列島に上陸した

 

 

窓は ガタガタと 気味の悪い音を立て

時折 遠くで サイレンの音が聞こえる

 

幸いなことに 母は耳が遠くて

こんな不穏な音は 全く聞こえないらしい

 

椅子で

いつものように 平和に うたた寝をしている

 

 

その様子に救われながらも

私にとっては この 不安な長い夜

 

何をしていいか わからなくて

 

でも 眠ることもできなくて

 

時間を持て余していた

 

 

そんな時

子どもの時に体験した 台風の夜を

思い返していた

 

 

 

 

当時

私の家の窓枠は 木でできていたので

台風が来ると

今よりもっと ガタガタと音を立てて

 

雨や風が

隙間から 入り込んでくることもあった

 

 

停電して

たった一本の 懐中電灯の明かりの中

 

母に抱かれて

ぬくもりの中で あの時 感じていたのは

 

なぜか 不安よりも

非日常の時間を過ごす

ドキドキ

 

 

 

 

 

そんなドキドキを

そのまま映し取ったような絵本が ある

 

 

「あらしのよるに」 by きむらゆういち

 

 

嵐に見舞われたヤギが

壊れかけた小屋を見つけ

大急ぎでそこに入り 一息ついていると

 

あとから オオカミも逃げ込んでくる

 

でも あたりは 漆黒の闇

 

不安な中

お互い 相手が 自分の仲間だと勘違いして

会話を交わすうちに

 

二匹の間に 友情が生まれてくる

 

 

雷の音にびっくりして

思わず 相手の身体に触れたり

 

雷の光で 一瞬 明るくなったり

 

好きな食べ物の話を したり

 

そんな 相手が仲間でないことが

わかりそうになる

ハラハラドキドキの出来事が

次々起こる お話

 

 

 

 

我が家では

 

雨風の強い夜

子どもに この本を読み聞かせするのが

定番で

 

私は 女優になって

ヤギと オオカミの 二役を演じていた

 

 

小さなオーディエンスたちは

物語の展開は

何度も読んで わかっているはずなのに

 

なぜか 毎回

初めてのような反応を 示す

 

 

息子は

必ず 私の背中に 手を入れてきて

毛むくじゃらじゃないか 確かめる

 

 

娘は

ぎゅうっと 私の腕にしがみついてきて

 

ママは 狼じゃないよね?

 

と 確認する

 

 

時々 私は 面白がって

 

ふっふっふ それはどうかな~

 

なんて 答えて

わざと怖がらせたりして

 

それって 親としてどうよ?

 

 

だけど

その様子が とても かわいくて

 

どうしても 見ていたくて

 

 


 

 

 

台風の 夜

 

普段は 記憶の底に沈んでいる

こんな 四半世紀も前のことが

 思い出された

 

 

しあわせ って

多分

 

後から思う

ああいう時間のことなのね